希少図録本 茶道美術 茶入 仕覆 唐物 古瀬戸 89点 カラー写真解説 肩衝茶入 茄子茶入 文琳茶入 大名物 重要文化財 真中古 金華山 破風窯 後窯 草人木書苑
監修
千宗室 裏千家 家元
顧問
千宗左 表千家 家元
千宗守 武者小路千家 家元
藪内紹智 藪内流 家元
小堀宗慶 遠州茶道 宗家 遠州流
山田宗偏 宗偏流 家元
淡交社
1982年 初版
金箔押し布張り上製本
作品写真図版フルカラー
解説写真図版モノクロ
30.5x21.6x2.5cm
229ページ
定価記載なし
※絶版
日本の茶道六大流派の各家元・宗家が監修した、
重要文化財、名物、大名物、中興名物はじめ、茶道美術の正真正銘・本物中・最高峰の
茶道具ばかりを集めたフルカラー写真図録本全集「草人木書苑」のうちの一冊。
本書は「茶入」。大名物を中心に89点の茶入と、付随する名物裂の仕覆も多数紹介。
写真図版は実物大に近いカラー写真で、実際にそれぞれの道具を手にとって拝見するような感覚で楽しめる上、
箱書きなど付属物、伝来、寸法、古文書などの所載、道具の見どころや由緒など詳細に解説したもの。
参考文献、古文書釈文、解説、系譜なども収載。
茶人必須の知識情報満載、
内容充実の、茶道・骨董品・茶道具・日本美術・東洋美術など愛好家必携、大変貴重な資料本です。
【刊行のことば 千宗室】全集全体の序文
日本の茶道は、その成立の初期から今日まで、綜合的な文化体系として、日本人の生活文化の基調としての役目をはたしつづけている。
日本人固有の審美的な美意識から、茶室・茶庭といった建築空間の構成、各種道具の生活工芸としての造型、点前作法に見る坐作進退の姿勢、懐石を中心とした飲食の意匠性まで、日本人の生活基盤のなかに、ふかく根ざして、伝統的なくらしとなって生きているのである。
ところで、この茶道の真髄を把握するためには、どうしても通らなければならない関門のあることを忘れてはならない。それは、茶道を構成する道具に対する知識と鑑賞眼の琢磨である。実は、茶道の極意は、この第一の関門を初歩としながらも、これを究極とするとも言われるものである。
目利ニテ茶湯モ上手、数奇ノ師匠ヲシテ世ヲ渡ル(茶湯者卜云、一物モ不持、胸ノ覚悟一、作分一、手柄一、此三箇条ノ調タルヲ侘数奇卜云々 唐物所持、目利モ茶湯モ上手、此三箇モ調ヒ、一道二志深キハ名人卜云也
と『山上宗二記』にあるように、茶道具の鑑賞が、古来、如何に重視されていたかがわかる。だから、今日の茶道を、文化遺産として考えるとき、精神文化さえもが、道具を中心とした造型遺産に内包されると考えてもよいのである。
このたび『茶道美術全集』の刊行を企図した。それは、茶道の造型遺産をとおして、茶道の美の真実を体系化することにある。
幸いにして、多くの読者諸賢とともに、美の宝庫の中に遊ぶよろこびをわかちあい、明日への茶道人の歩みの資たらしめんとねがうのである。
【目次より】
初花肩衝茶入 唐物 大名物 重要文化財
日野肩衝茶入 唐物 大名物
新田肩衝茶入 唐物 大名物
北野肩衝茶入 別名 烏丸尉衝 唐物 大名物
油屋肩衝茶入 唐物 大名物
遅桜肩衝茶入 唐物 大名物
伊木肩衝茶入 唐物 大名物
松屋肩衝 旧名 松本肩衝 唐物 重文 大名物
筑紫肩衝茶入 唐物 大名物
残月肩衝茶入 唐物 大名物
富士山肩衝茶入 唐物 中興名物
玉堂肩衝茶入 唐物 大名物
山井肩衝茶入 別名 樋口肩衝 唐物 大名物
味噌屋肩衝茶入 唐物 大名物
国司茄子茶入 唐物 大名物
福原茄子茶入 唐物 大名物
京極茄子茶入 唐物 大名物
紹鴎茄子茶入 一名 みをつくし茄子茶入 唐物 大名物
利休物相茄子茶入 別名 木葉猿 唐物 大名物
珠光文琳茶入 別名 天王寺屋文琳 宗休文琳 唐物 大名物
酸漿文琳茶入 唐物 大名物
本能寺文琳茶入 別名 朝倉文琳茶入 唐物 大名物
平野文琳茶入 唐物 大名物
岩城文琳茶入 別名 上天文琳茶入 唐物 中興名物
奈良文琳茶入 唐物 八幡名物
羽室文琳茶入 唐物
吹上文琳茶入 唐物 中興名物
田村文琳茶入 唐物 名物
白玉文琳茶入 別名 丸屋文琳茶入 唐物 大名物
土田丸壺茶入 唐物 大名物
利休丸壺茶入 唐物 大名物
打曇大海 唐物 大名物
利休鶴首 唐物 大名物
鎗の鞘肩衝茶入 古瀬戸 大名物
山の井肩衝茶入 古瀬戸 大名物
円乗坊 肩衝茶入 古瀬戸 (以下、大名物、中興名物等略)
在中庵 肩衝茶入 別名 道休肩衝茶入 古瀬戸
畠山 肩衝茶入 古瀬戸
女郎花 肩衝茶入 古瀬戸
六条 肩衝茶入 古瀬戸
相坂 丸壺 古瀬戸
伊予簾 尻膨 古瀬戸
春慶 瓢箪 古瀬戸
春慶 口瓢箪 古瀬戸
面影 真中古 野田手本歌
猿若 真中古 野田手
宮城野 真中古 野田手
比丘貞 真中古 大覚寺手
初雁 真中古 大覚寺手
橋姫 真中古 橋姫手本歌
思河 真中古 思河手本歌
小川 真中古 小川手本歌
春山蛙声 真中古 柳藤四郎
大津 金華山 大津手本歌
広沢 金華山 広沢手本歌
飛鳥川 金華山 飛鳥川手本歌
滝浪 金華山 滝浪手本歌
三輪山 金華山 海鼠手本歌
真如堂 金華山 真如堂手本歌
藤浪 金華山 藤浪手本歌
秋の夜 金華山 広沢手
増鏡 金華山 玉柏手
小茄子 金華山 天目手
翁 破風窯 翁手本歌
九 破風窯 九手本歌
音羽山 破風窯 音羽手本歌
潮路庵 破風窯 渋紙手本歌
正木 破風窯 正木手本歌
稿立 破風窯 橋立手本歌
忘水 破風窯 皆の川手 旧名 白浪
米市 破風窯 米市手本歌
豊後口広 破風窯 口広手
地蔵 後窯 利休窯
餓鬼腹 後窯 鳴海窯
澪標 後窯 織部窯
振鼓 後窯 落穂手 万右衛門
田面 後窯 落穂手 万右衛門
山雀 後窯 新兵衛
不闘猿 後窯 宗伯
さび助 備前
思河 唐津
手枕 高取
染川 高取
秋の夜 高取
腰蓑 高取
走井 伊部
忠度 蕨摩
生野 丹波
鷲の山 御室 仁清
総説 小田栄作
図版解説 小田栄作・小田栄一
別所吉兵衛伝書
一玄庵窯分
茶入の名称
【図版解説 より 一部紹介】
1 初花肩衝 唐物 大名物 重文
付属物 仕覆三 仕覆箱 桐白木 挽家一 唐木 縁 沃懸金粉彫銘 挽家袋一 内箱 桐白木金粉銘 外箱 黒塗金粉字形 書付 由緒書付一
伝来 鳥居引拙(珠光二男)-大文字屋疋田宗観-織田信長-織田信忠-松平念誓-徳川家康-豊臣秀吉-浮田秀家-徳川家康-松平忠直-松平備前守-柳営御物
所載 徳川家所蔵御道具書画目録 東山御物内別帳 天正各物記 信長公記 今井宗久日記 津田宗及茶湯日記 雲州松平家本 古織茶会之記 宗教日記 貫明公上京御日記 太閤記 若州酒井家文書 寛政重修諸家譜 古今名物類聚 遠州所持名貨帳 徳川実記附録 上御道具
帳 大正名器鑑
寸法 高サ八・四cm 口径四・六五cm 胴径八・〇cm 底径四・七cm 重サー四〇g
徳川としては、幕府の権威としても、代表的な茶入をもたなければならない。
その際、この肩衝によって、それを代表させたところに意味がある。だから、三百年もの間、この肩衝だけは、徳川幕府がその貫禄を見せるために、これを守本尊としたのである。
徳川家康は入手の際そこまでは、この肩衝への執着はもっていなかったかもしれないが、古来茶入中最上位の定評がある。
形が端然として、品格は高く高貴のおもかげがある。釉薬は、ほどよくかかって、流れ釉も置き形正しい。そしてさわがしくない。光沢もまた奥ゆかしい。
これはもとより宋窯焼成の土、釉である。
(モノクロ写真・書付釈文)
挽家蓋 唐木 縁 沃懸 金粉彫銘
内箱 桐白木金粉銘
由緒書付奉書紙一枚ニッ折 表・裏 以下略
2 日野肩衝 唐物 大名物
付属物 蓋三 両 遠州好 右 石州好 左 織部好
仕覆四 引蓋箱 書付松平不昧筆 仕覆形 仁清焼
什覆箱 桐白木 書付 松平不昧筆
挽家一 黒塗 仕覆入挽家 黒塗鐶紐ツキニ個
端彫物中栗色 四方盆一 盆箱 桐白木 書付小堀権十郎筆
伝来 日野大納言輝資-大文字屋疋田宗観-湯川善六-前田利長-湯川善六-三井三郎助-松平不昧
所載 古名物記 東山御物内別帳 江村専斎著 織人雑話若州酒井家文書
松屋久重日記 三井家文書 雲州宝物伝来書 松屋筆記三斎公之部 宗流石州流茶書 大正名器鑑
寸法 高サ八・八cm ロ径三・九cm 胴径七・四cm 底径四・ニcm
重サ一ニ〇g
所蔵者 東京畠山記念館
この茶入は、雲州松平家から、容易に顔を見せず、筆者はこの茶入にあこがれていた。これが、現所蔵者の手に入ることによって、ようやく熟覧するよろこびに接した。特長は。茶入の肩から、口作りまで甑たかく、胴はすなおにのびて、裾のしまりがよく、風格高き容姿は、さすがに名物の姿をおもわせる。
青と柿色釉の景色がゆたかで、置き形なだれもまた品がよい。つまり、非常に古色よく保存されているみやびな茶入である。盆付、板おこしが無造作に見られるのは、やおらかい焼き上がりのためであろう。
(モノクロ写真図版)
茶入 底
仕覆入挽家 黒塗
銀紐ツキニ個
仕覆形 仁清焼
挽家 黒塗
ほか