御存知！Terry Brownプロデュース最終作 音楽性変化過度期 意欲的大傑作「Signals」リマスター紙ジャケット仕様限定盤
未開封新品でございます。
内容は言わずもがな。
ラインナップは不動の名手トリオ。
Geddy Lee(Vo、B、Key)、Alex Lifeson(G、Taurus Pedals)、故Neil Peart(Ds、Per)となります。
またゲストにBen Mink(Electric Violin、当時FM)の参加が一曲ございます。
プロデュースはTerry Brownとバンド自身。エンジニアはPaul Northfield(後にQueenryche等に関与)となります。
１９８２年４～７月１５日カナダ・ケベック州モリンハイツ”Le Studios”での制作となります。
かの大傑作”Moving Pictures”が絶賛され好評を博し、ツアーは大成功を収めます。
されど「(プログレ/ハード期の)集大成」「これ以上の質をこの路線で求める事は困難」とバンド側が捉えていた感が有り、
渇望されていた二作目のライヴ盤制作を長年制作に携わってきたTerry Brownに委ね、バンド側は新たな音楽性を模索する期間を設ける事となります。
以前から興味を抱いていたニュー・ウェイヴ系の音楽性に注目。
そして、その中でもかの”The Police”に注目する事となります。
”The Police”はニュー・ウェイヴ系とは言えど、その実態は末期Curved Airの名ドラマー(で、当時のカミさんはかのSonja Kristina(笑))、
元AnimalsでかのSoft Machineのツアーサポート、故Jon Lord、David Bedford等々と現代音楽系まで含めた名うての名セッション・ギタリスト、
かの”Weather Report”の前座を務めた”Last Exit”なるジャズ／ロック/クロスオーヴァー系バンドに在籍し、ジャズ被れの過剰な才能を持て余した元高校教師(笑)によるバンド(笑)。
(ジャズ好きが共通していた模様...........)
おまけに、Joe Strummer(The Clash)には「偽パンク」と呼ばれ、先駆けてパンク分野に注目していたBBC名司会者John Peelにはバンドの番組出演希望に対して難色、というもの(笑)。
明らかに六十年代中期から七十年代前半に掛けての「英国を中心としたアート/ロック・ムーヴメント」出身者であり、(国は違えど)似た音楽環境から登場した”Rush”と音楽的背景は同じというもの。
(但し、メンバー仲の良い”Rush”に対して、あちらは非常に悪いというもの..........何かねぇ................)
また”White Reggae”とも呼ばれた”The Police”ではございますが、そのルーツは皆無。
「秀悦な作曲/アレンジ能力さえあれば音楽は何とでもなる」という姿勢であった事が有り、”Rush”は自信を持って(笑)自身の音楽性変革に乗り出す事となります。
手始めに(シンセ重視でもある)”Subdivisions”を作曲し、完成・リリースしたライヴ盤”Exit..Stage left”のツアーのセットリストに組み込み、聴衆の反応を窺う事となります。
非常な好評を得てバンドは確信を持ち、新作制作に向けバンド側は本格的に創作を開始。
そして長年制作に携わったTerry Brownと共に新作制作に勤しむ事となりますが、そのTerry Brownは新たな音楽性に幾分難色を示す事となります。
そもそもTerry Brown自身がニュー・ウェイヴ系の音楽性やキーボード使用に対して精通していない事からバンド側と意見の相違が多く見られる事となり、
制作は幾分長期化。
ようやく完成を見る...........という面倒な経緯がございます........................................
さて今作。
プログレ/ハード系の音楽的装飾を脱ぎ捨て、大幅にニュー・ウェイヴ系の音楽性に接近。シンプルで合理的な音楽性を指向という感がございます。
されど、非常なメロディアス重視でポピュラー感が備わったものでございます。
楽曲も粒揃い。
(演奏面からも)非常に凝った楽曲ではございますが、展開が早いもので非常に巧み。
されど非常に簡素。
八十年代以降の”Rush”への橋渡しという感が有り、(音楽的・音響的な装飾がかなり省かれている分)原型という感がございます。
音響的にも非常に興味深いもの。
されど、作品制作中に生じた意見相違が窺えるもの。
バンド側が望んだニュー・ウェイヴ系に通じる簡素な音造りとTerry Brownのプログレ/ハード指向の摺り合わせという感が窺えるものでございます。
結構アナログ感が有り、また音の隙間が非常に感じられるもので、非常に録音の良いもの。
当時オーディオ・ファンが重宝していた感がございます................................
演奏はキーボード重視ではありながらも、結構ギター色の強いもの。
名手Alex Lifesonのカッティングやリズムの巧みさが目立つものではございますが、洗練・簡素化を意識したもの。
されど、後に薄れていくギター・ヒーロー感やソロイスト感が未だ非常に感じられるものがミソでございます。
名手故Neil Peartの巧みさは言わずもがな、でございますが、非常にスリリングで細やかさが目立つもの。
但し、簡素をテーマに持っていた感が有り、手数の多さと洗練度、余裕そして空間を重視した感。
過剰な装飾感を抑えたものとなっております。
Geddy Leeは今作での音楽性変革の中心という感が有り、ヴォーカルも過剰な高音を避けたもので非常に聴き易いもの。
今作ではバンドは簡素/洗練重視という感がございますが、ベース演奏は非常に巧みで印象に残るもの。
キーボードとの兼ね合いも非常に興味深いものでございます。
またゲスト参加となるBen Mink(FM)でございますが、非常に印象的な演奏。
御遊び程度で参加というゲストは以前にも以後にもございますが、ここまでの印象深いものは稀というものでございます。
(他にはディジタル系大傑作二作”Power Windows””Hold Your Fire”でのAndy Richardsのプログラミング/演奏位でしょうか.............)
歌詞も非常に興味深いもの。
人間が生み出した都市化がその無機質化を齎す矛盾という”Subdivisions”、十代の揺れ動く感情を”Analog”と例えた”Analog Kid”そしてその対比となる大人としての”Digital Man”、
人間の出会いは化学反応という”Chemistry”、理論を含めた武装が諸刃となって自身に返ってくるという”The Weapon”、人生の老いを見つめた”Losing It”等々、
故Neil Peartの興味・関心が現代へと強く向けられている事が窺えるものでございます。
幾分の困難の末完成した音楽性新機軸意欲作”Signals”。
リリース後はかなりの好評を博す事となります。
またツアーも大好評に終わり、活動が順風満帆となります。
ツアー後暫しの休息を取りバンドは新作制作に向け動き出す事となりますが、意見相違が多く見られたTerry Brownはバンド自身の今後の新たな音楽性の実現には不向きを判断。
袂を分かつ事となります。
その後新作制作に向け、”Peter Gabriel”大傑作”Ⅲ”やかの”Ｕ２”等々のニュー・ウェイヴ系名作を手掛けたその手腕から、かの名プロデューサー”Steve Lillywhite”に白羽の矢を立て、
制作参加の承諾を得る事となります。
されど、バンド側が創作に取り組む直前に突如降板。バンド側は困惑する事となります................................
今作裏ジャケットはかの元読売巨人軍で御馴染み名手ウォーレン・クロマティーさんが学生時代に制作した住宅地計画図面(宿題？)の模様でございます.............
後のミュージシャン・デビュー作にはGeddy Leeがバック・コーラス参加しております............
更に後々には球場のベンチ内でかの歴史的名手イチロー選手と談笑している所を目撃されておりますが...................
”Rush”はスタッフ含め野球好きで知られますが.................................................
この機会に是非。
