ドニゼッティ 歌劇 ドン パスクァーレ シルズ クラウス グラム タイタス 極美品 コードウェル 初CD化 EMI 1977. 初期盤 廃盤 リブレット

シルズのノリーナが聴けるドン パスクァーレです。大プリマ シルズの為に シルズの希望に沿ってEMIが企画したに違いない…と感じさせる録音です。当時は まだ専属制度の名残りが残っていた時代でしたので、EMI録音はシルズの意向に沿って ABC時代に録り残した曲が中心で、プリマがよくやる “２度目の録音=再録” は遂になされなかったと記憶します。世界的に注目されたのが 比較的に遅かった方ですが…それでもよくこれ程のディスコグラフィを完成させたものだ とシルズのタフネスぶりに感心してしまいます。このノリーナはシルズ最後期の記録で、もう声が若くは聴こえませんが…で 悪いのか と言えば それがそうとも言えないから面白いです。やはりシルズは “手練れ” “テクニシャン” だと改めて感じます。スーブレットが若い娘だと考えると若干の齟齬が生まれますが、“男性を…しかも癖のあるオッサンを手玉に取る役” と考えると、これはこれで見事な役作りだと納得がいき 面白味が増すかと考えます。
この盤のもう一つの…しかも最大の聴き処 お値打ちは “クラウスのエルネスト” で、こればかりは溜息が出る程の素晴らしさ…大袈裟に言えば “空前絶後” の出来だと思います。“ベルカント” とは正にこの事…全てが水の流れの様な自然さで、“性格” とか “様式” とかをすっかり忘れて 只々聴き惚れてしまいます。こうした役にこんな大物を起用する事は 舞台でも録音でもまぁ無い事ですが、これとかフェントンとかに示されるクラウスの至芸は、他の誰にも及びようのない芸境だと改めて感じます。
コードウェルという女性指揮者は今ひとつガッツの無い…パンチの効かない指揮ぶりですし、グラム（グラインドヴォーンのファルスタッフだった歌手）もタイタスも平均的な出来で、ここらはEMIスタッフのヤッツケぶりが感じられますが… 一にも二にも クラウスのエルネスト シルズのノリーナ が聴けることで 今だに存在価値は充分にある録音だと考えます。現在では廃盤だと思います。

極美品です。CD初期に 初めてのミッドプライスシリーズとして出された盤だと記憶します。多分この時が初CD化だと思います。開封時のままに綺麗だと思います。伊英リブレット付き。冊子がプラケースいっぱいの大きさで、少しだけタワんでいます。

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