’本書の特徴点とするところは後述の如く、私が奉職している両学校に於いて、高校生大学生及び大学卒業生で社会に働いておられる人々や社会一般の人々を対象として、教授した最新の資料を基礎とし、かつ、学習者諸君から頂いた質問や難問に対する解説をも含めて、出来得る限り詳しく理解し得る様に、科学的な立場から述べたものでありまして、その特徴点を略記すれば次の通りであります。(1)英語の発音より文章法〔統辞論〕(Syntax)を中心とした英語の学習に必要なあらゆる事項について詳論していること。(2)現代の生きた英語(LivingEnglish)を取り扱ったものであると共に文語(Written English)と口語(Spoken English)の区別や古体(Archaic Form)などの点についても言及しました。また、英米語の差異にも注意を致しました。(3)英語学習者が特に難解とする点、また、往々にして誤り易き点などについては、特に〔注〕をもうけて、単に学校文法(School Grammar)のみならず、科学文法の合理的な広い視野の上に立って、一般文法書よ りもや、高い程度の詳論を試みたところも少なくはありません。 (4)本書において、各項目の説明に際しては文章法を中心として、主に文全体の立場から述べてありますので、その項目に関連する必要と思われる事項は重複を余儀なくしました。また随時参考とすべき書物及至場所を指摘するように努めました。これは当該項目を断片的な個々の知識としてではなく総括的に、有機的に把握 できるように試みたからであります。 (5)言語の学習には絶えさる練習(Practice)が必要であります。さもないと言語の運用にあたっては、単なる知識のみでは役に立ちません。文法の知識をよく消化して自分のものとなすには、多くの練習問題に直面してはじめて、学んだ知識を体得し、運用能力も勝ち得られるものであります。かかる意味において、本書では各項目の終りに出来得る限り中心問題となる標準的な程度の問題を選んで加え、学習者にその結果の検討をして頂くと同時に、運用能力も養って頂くようにしました。またその結果の解答は巻末の解答によって確かめて頂き度いと思います。(6)巻末には学習者の便宜をはかって「素引」を施してありますから利用して頂きたい。