如何なる人でも子供が生れたとき、眞つ先に考へさせられるのは名前を何とつけようかといふことです。それは申すまでもなくその子が丈夫に成長し、立派に學業を了へ、社會に立つて分相應の成功を得、家庭圓滿、健康、長壽、子孫繁榮といふようなあらゆる幸幅を翼ふ親心から来る當然のことであります。

本書はこの人世共通の希望に應へ、十分の確信と安心とを以て愛し子の爲めに幸なる名前を興へる手引の爲に公刊したものであります。讀者は子供の生れぬ前から用意の爲め必ず一本 を備へ、十分研究して置いて戴きたい。その研究には必ず最初の姓名學の豫備智識を一識したる上にて徐々に本文の全部を精識しなければなりません。

いはゆる飛び読みや、拾ひ讀みで一知半解に陥っては却て間違ひの基となりますからよくよく御注意下さい。尚は本書に就て質問のある方、または特に撰名を希望する御方は東京都大田區新井宿六丁目六七一番地、五聖閣へ御訪ね下さい。 順路は省線大森驛下車、山王口より池上バスに乗り、役所前で下車前進一丁位、その南側です。

昭和二十二年九月

目次

人格完成の基本

正しき姓名學

頭腦印象の影響

名は生涯の実体

自分が名に現はれてゐる

新しい姓名

姓名學は世界共通性

姓名は人格である

姓名は人の一生

信名の道こそ宗教

子供の名と両親の名

奮闘努力と姓名力

忙しく複雑な世の中

人間の道鳥獣の義

敵討とお麺の身

貞操觀や義務實任・・・画像5

子を思ふ親の心

母性愛は神の思召し

性愛は人間の特色

子供のない御夫婦

親を選ぶ自由なし

幸福を切開く道

運と不理は偶然か

運命は救道なり

根本的合理主義.

正統運命學は正にこれ

悲惨の極光明萠洲す

名門家の末路

運命の恐怖をふ

事前に覆滅を防ぐ法

永く家名を堕さしめず

鵜の埋世間の嘆ひ

天地と共に在る身命

美田の代りに運命學

科高館も迷信

幸福無碍の人生を作れ

眼に見えぬ運命の力

傷害の侶はなまえなり

以下省略

八十一般の運命霊動

単位数の霊動

十位数の霊動

二十位の霊動

三十位敷の霊動

四十位数の霊動

五十位数の霊動

六十位数の霊動

七十位数の霊動

八十位数の霊動

第七篇 姓名學應用字典

文字に不滅の霊魂あり

意表文字と音表文字

漢字表に就いてい 

漢字表・・・画像7

一畫之部

二畫之部

三畫之部

四畫之部

五畫之部

六畫之部

七畫之部

八畫之部

九畫之部

十畫之部

十一畫之部

十二畫之部

略

二十二畫之部

二十三畫之部

二十四畫之部

二十五畫之部

二十六畫之部

片假名の字算定

平假名の字算定

 かように二三の例はみなよい方に變化しまして人間世界の道德や習慣は、理論や口頭のおいては昔よりも大いに向上し美化したやうでありますが、しかし到る處の世相を眺めますと、若い男女の人達の貞操觀念が頽れたとか、義務や責任の觀念が衰へたとか、階級制度がなくなって國民が平等になつたことは結構ですが、一面には何となく秩序が保たれなくなったり何事でも勝手氣儘にすることが自由主義であるかの如く考へて、他入の迷惑を省みず行動することなどは大に考へねばならないことであります。

 蝶よ花よと育て上げ、女子中學校の教育は申すまでもなく、女藝婦道の一と通りは殘るかたなくよく躾け、娘一人に八人の、引く手數多に望まれて、衣類調度に贅を盡くし、三國一の花聟様と嬉しはづかし三三九度、およそ世界にこの位、仕合せものはあるまいとまで羨しがられ、褒めそやされた若夫婦が、結婚の日數が幾日も經たないのに、突如として幽明を異にし、あるひは病床に呻吟し、あるひは夫の遊蕩、妻の不貞、乃至は流産に奇禍に、時には姑舅との不和、家運の波落等、世には悲劇の跡絶えぬ嫁の苦しみ、夫の悲しみ、親や兄弟の憂の闘い関へ等、事前における人間の想像に描いた幸福とは余りにも相違する結論は、そもそも何に基づくでありませうか、教育も、修養も、義務責任の觀念も、この不幸の解決は興へてくれません神仏に頼む儚ないあきらめも、淡い慰安も、この不幸の原因を取除いてはくれません。茲に運命學の獨自獨歩の大使命があるのであります。