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「泣き童子 三島屋変調百物語参之続」 平成28年 6月 文庫初版
「三鬼 三島屋変調百物語四之続」 令和 元年 6月 文庫初版
定価 760円、960円+税 475頁、671頁
<泣き童子> 目の前で許婚が殺されたという、不幸にあったおちかを引き取った叔父の三島屋主人。姪の心を少しでも解そうとして、怪談の聞き取りを始める。もともとの囲碁好きで黒白の間と名付けた客間で、おちかは来談者の話を聞く。ここに来て一年近くたつ、年が明ければおちかも19歳。いろんな話を聞いてきた。”語って、語りっぱなし。聴いて聴きっぱなし”それが、三島屋のルールだ。語ることで心の荷を下ろし、聴くことで、人生を知る。そんなシリーズ。「魂取の池」結婚間近の娘が、母から聞いた嫉妬にまつわる話。これは、おちかも胸にしまっておく。「くりから御殿」山津波で家族や、幼馴染を失ってしまった男は、今でもそれを思い出す。「泣き童子」突然泣き出す童子。その泣き出すわけを知った、父娘はその後無事に暮らしていたと思っていたのに。「小行き舞う日の怪談語り」珍しく、三島屋を出て百物語の会に招かれる。一対一の語りではない会も目新しいし、久しぶりに会える手習い師匠と一緒もいい。その道筋で出会う話も優しい。「まぐる笛」東北の山村で起こる化け物の話。「節気顔」節気の時だけ、人の顔になってしまう怪。かつて出会ったあの謎の人物との関りもあるのか。
<三鬼> 変わり百物語。彼らの年齢や身分は様々で彼らは正しいことも過ちもすべて語り捨ててゆく。「迷いの旅籠」13歳の少女は亡者の集う家の哀しき顛末を語る。「食客ひだる神」あやかしを受け入れる夫婦の人の良さ。一緒にいたいのにそれが難しい「状況は切ないが、その理由がなんともおかしみを帯びている。怖いところがない、愛らしい神の物語。「三鬼」山奥の地域社会における3鬼の話。よそ者が足を踏み入れた時に起こる不可解さ、不気味さがたっぷり味わえる。しきたりを守り続ける村人の排他的な心理が怖い。「おくらさま」過去を語るのは、心は14歳のままの老婦人。その正体に意外性のある一編。聞き役に従兄弟の冨次郎も加わり、怪異を聞き積んでゆく中でおちかにも新たな出会いと別れがある。
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