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新品仕上げ済み。蛇は四肢を持たない長い体や毒をもつこと、脱皮をすることから「死と再生」を連想させること、長い間餌を食べなくても生きている生命力、四肢のない体型と頭部の形状が陰茎を連想させる事などにより、古より「生と死の象徴」「豊穣の象徴」「神の使い」などとして各地でヘビを崇める風習が発生した。最近でもヘビの抜け殻(脱皮したあとの殻)を「お金が貯まる」として財布に入れるなどの風習がある。また、漢方医学や民間療法の薬としてもよく使われる。日本でも白ヘビは幸運の象徴とされ特に岩国のシロヘビは有名である。また、赤城山の赤城大明神も大蛇神であり有名であるといえる。
民俗学者の吉野裕子によれば、日本の古語ではヘビのことを、カガチ、ハハ、あるいはカ(ハ)等と呼んだ。また、これらを語源とする語は多く、鏡(ヘビの目)、鏡餅(ヘビの身=とぐろを巻いた姿の餅)、ウワバミ(ヘビの身、大蛇を指す)、かかし(カガシ)、カガチ(ホオズキの別名、蔓草、実の三角形に近い形状からヘビの体や頭部を連想)などがあり、神(カミ=カ「蛇」ミ「身」)もヘビを元にするという[24]。ただし、カガチはホオズキの古語、鏡の語源は「かが(影)+み(見)」、カカシはカガシが古形であり、獣の肉や毛髪を焼いて田畑に掛け、鳥や獣に匂いをカガシて脅しとしたのが始まりであって、それぞれ蛇とは直接の関係はないというのが日本語学界での通説である。
ヘビは古来、世界的に信仰の対象であった。各地の原始信仰では、ヘビは大地母神の象徴として多く結びつけられた。山野に棲み、ネズミなどの害獣を獲物とし、また脱皮を行うヘビは、豊穣と多産と永遠の生命力の象徴でもあった。また古代から中世にかけては、尾をくわえたヘビ(ウロボロス)の意匠を西洋など各地の出土品に見ることができ、「終わりがない」ことの概念を象徴的に表す図象としても用いられていた。ユダヤ教やキリスト教、イスラム教(アブラハムの宗教)では聖書の創世記から、ヘビは悪魔の化身あるいは悪魔そのものとされてきた。
ギリシャ神話においてもヘビは生命力の象徴である。杖に1匹のヘビ(クスシヘビ 薬師蛇、Zamenis longissimus とされる)が巻きついたモチーフは「アスクレピオスの杖」と呼ばれ、欧米では医療・医学を象徴し、世界保健機関のマークにもなっている。また、このモチーフは世界各国で救急車の車体に描かれていたり、軍隊等で軍医や衛生兵などの兵科記章に用いられていることもある。また、杯に1匹のヘビの巻きついたモチーフは「ヒュギエイアの杯」と呼ばれ薬学の象徴とされる。ヘルメス(ローマ神話ではメルクリウス)が持つ2匹のヘビが巻きついた杖「ケリュケイオン」(ラテン語ではカドゥケウス)は交通などの象徴とされる。「アスクレピオスの杖」と「ヘルメスの杖(ケリュケイオン)」は別のものであるが、この二つが混同されている例もみられる。
古代エジプトの歴代ファラオは、主権、王権、神性の象徴として蛇形記章を王冠に戴いた。
中国神話や、江戸時代の官学であった道学では、蛇神が道祖として信仰されてきた。明治維新後の日本では高島易断で主祭神として信仰が残るのみ。また中国の香港特別行政区では道教寺院を通して一般に信仰され、中国本土では中華民族人文の始祖として尊ばれている。三皇の初代が、魚釣を教え魚網漁鳥網猟や八卦(易)、そして結縄や瑟を発明した蛇身人首の伏羲。その妹にして妻である女は、泥と縄で人類を創造し、天を修復し、笙簧を発明した蛇身人首の女神。伏羲と女は大洪水に遭い、人類は、瓢箪の中に避難していた二人を残して絶滅してしまったとも伝えられている。なお、漢字文化において古くは無足の動物を蟲と称し、代表的な動物が蛇で、その他、蛭やナメクジやミミズやウミウシも蟲に属した。そのため、足無しと呼ばれた足の不自由な人が知恵者として崇拝されるようになると、蛇と同一視されるようになったという解釈もある。
また、インド神話においてはシェーシャ、アナンタ、ヴァースキなどナーガと呼ばれる蛇身神が重要な役割を果たしている。宇宙の創世においては、ナーガの一つである千頭の蛇アナンタを寝台として微睡むヴィシュヌ神の夢として宇宙が創造され、宇宙の構成としては大地を支える巨亀を自らの尾をくわえたシェーシャ神が取り囲み、世界を再生させるためには、乳海に浮かぶ世界山に巻き付いたヴァースキ神の頭と尾を神と魔が引き合い、乳海を撹拌することにより再生のための活力がもたらされる。これらの蛇神の形象は中国での竜のモデルの一つとなったとも考えられている。
日本においてもヘビは太古から信仰を集めていた。日本では、縄文時代の遺跡からもヘビをかたどった土偶が出土している。縄文時代中期の遺跡からはヘビをモチーフとする文様の施された土器がしばしば出土し、なかには頭部をマムシに特徴的な三角状に仕立てたものもある。ヘビは、日本では古来より、ネズミを捕食するところから穀物神、それが転じて田の神、ヘビと龍との習合から水神、さらに財宝をつかさどる弁財天の表象・化身ないし神使として神聖視されてきた。中国の逸話を集めればヘビは富の象徴にほかならない。これは商業神へとつながる要素である。民俗学のフィールドワークや古代の史書からは地神としての性格も有する。
また、豊穣神として、雨や雷を呼ぶ天候神として、また光を照り返す鱗身や閉じることのない目が鏡を連想させることから太陽信仰における原始的な信仰対象ともなった。もっとも著名な蛇神は、頭が八つあるという八岐大蛇(ヤマタノオロチ)や、三輪山を神体として大神神社に祀られる大物主神(オオモノヌシ)であろう。弁才天でも蛇は神の象徴とされる場合がある。大神神社や弁才天では、神使として蛇が置かれていることもある。蛇の姿は、男根、剣、金属(鉄)とも結びつけられることから男性神とされる一方、豊穣神・地母神の性格としては女性と見られることも多く、異類婚姻譚の典型である「蛇女房」などにその影響を見ることができる。この他、蛇そのものを先祖とする信仰(トーテム)もみられ、『平家物語』の記述として、「緒方維義の祖先は明神の化身たる大蛇という伝説(緒方家における祖神信仰)があり、その話から武士達が集まった」と記される。他に建御名方神、豊玉毘売命、玉依毘売命、阿遅高日子根神なども龍蛇神である。
精神分析の始祖であるジークムント・フロイトは夢分析において、ヘビを男根の象徴であるとした。これに対してカール・グスタフ・ユングは、男性の夢に登場するヘビは女性であると説いた。また、ユングはフロイトが多くのものを性[要曖昧さ回避]に結び付けて解釈する傾向に対しては批判的であった。
1960年代に5歳から12歳の子どもを対象として行われた「怖いと思うもの」を尋ねる調査では、467人のうち約50パーセントの子どもが動物を上げ、その中で最も多かった回答はヘビ類だった。このように、多くの人に見られるヘビ類への恐れは本能であるという説と、学習の結果であるという二つの説がある。本能由来説の裏付けとして、マーモセットやチャクマヒヒなどの観察研究により霊長類全般にヘビへの忌避行動が見られる事が挙げられている。一方でマカクやキツネザルを対象とした学習由来説を裏付ける研究もあり、結論には至っていない。1928年に心理学者メアリー・カバー・ジョーンズ夫妻が提出した論文『成熟と感情:ヘビに対する恐れ』によれば、2歳までの子供は長さ1.8メートルのヘビやボアコンストリクターを恐れなかったが、3歳児は警戒を見せるようになり、4歳児以上では恐怖を示したという。
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