東京鍛冶界を代表する名工 嶋村幸三郎作の「清忠」組鑿

東京鍛冶界における一流の鑿鍛冶である嶋村幸三郎氏が、その卓越した技術と情熱を注いで製作した「清忠」という銘の組鑿（のみ）は、日本の伝統木工工具の中でも特に評価の高い逸品です。嶋村氏は、数十年にわたり鑿鍛冶としての技術を磨き上げ、現在ではその名を広く知られる存在となっています。

「総角打ち」の技法で生み出される驚異の切れ味

「清忠」の最大の特徴の一つは、珍しい「総角打ち」の技法を用いて製作されている点です。この技法は、日本の伝統的な鍛冶技術の中でも特に難易度が高く、熟練した職人でなければ成し得ないものです。「総角打ち」とは、刃に十分な厚みを持たせることで、力強い切れ味と卓越した耐久性を両立させる技術です。厚みのある刃は、木材を削る際に抜群の安定感をもたらし、職人が思い描く精度をもって作業を進めることを可能にします。

用途に応じた豊富なサイズ展開

「清忠」組鑿は、3ミリから42ミリまでの幅広いサイズ展開が特徴です。10種類のサイズが揃っており、それぞれが異なる木工の用途に対応できるよう設計されています。3ミリの細かい彫り込み作業から、42ミリの大規模な削り作業まで、多様な木工のニーズに応えることが可能です。この豊富なサイズ展開により、木工職人たちはさまざまな作業において最適な工具を選び出すことができ、より精緻な仕上がりを実現できます。

職人たちに愛され、受け継がれる一生ものの道具

「清忠」は、その卓越した性能と美しい仕上がりにより、数多くの職人から厚い信頼を寄せられています。嶋村幸三郎氏が丹精を込めて鍛え上げたこの鑿は、単なる道具ではなく、一生ものの相棒として世代を超えて受け継がれていく価値があります。彼の手によって生まれた「清忠」は、まさに伝統と技術の結晶であり、木工の世界において長く愛用され続ける名品です。