ヴェルディ 他 ロッシーニのためのミサ 未開封 シャイー スカラ座 シーリ シメオーニ ベッルージ ピアッツォーラ ザネッラート 2017.11 ライブ?

ヴェルディをはじめ13人の作曲家の合作による“ロッシーニのためのミサ曲”です。ヴェルディを扱った評伝や研究書には この曲の行く立てが必ず記されているのですが いずれも極あっさりとした内容で、ほとんどが “小さなエピソード”的な記述です。それもそのはず…ヴェルディがここで作曲した“リベラ メ”は そっくりそのまま“マンゾーニのためのレクイエム（いわゆるヴェルレク）”に転用されていて、研究者にとってもファンにとっても 失ったものは何一つない状況なので、誰も深くは突っ込まない事に “なるほど”と納得が行きます。
成り行きからは いわゆる “合作物” の難点が眼前で、こんな場合は 芯になる作者（編者）に余程のポリシーや指導力ないと “空中分解”は避け難いのだろうと感じます。 経緯を整理すると…
・1868.11.13ロッシーニ没
・彼を偉大な先人として尊崇するヴェルディは 数日後には現役の作曲家合作によるレクイエムの制作を発案
・自らは“リベラ メ”を早々に作曲完了
・一方で 他の12人の作曲は遅々として進まず 演奏を担うボローニャ歌劇場も気乗り薄く・初演予定の一周忌には間に合わず
・日程や初演地の変更などを試みるも結局初演は頓挫 ・全曲の手稿も行方不明
・ヴェルディはこの計画に見切りをつけ のちにその“リベラメ”を含む自作の“レクイエム”全曲を完成 …… と言う次第
さらに後日談としては、散逸したとばかり思われていたスコアも前世紀末に発見され、約120年後の全曲初演が 当初の企画通りに敢行された … と言う大団円がつきます。
その世界初演は 1988年、あのリリングの指揮で ベニャチコヴァー クイヴァー アガーゲなどをソリストに据えて、シュツットガルトで行われた模様です。宗教曲とは言いながら いかにもヴェルディ時代の曲に相応しい演奏だった事が窺えます（手稿発見や世界初演の時期が資料により様々で、事実と若干のズレが生じている可能性あり）。
シャイーは若い頃から ロッシーニやヴェルディの新発見や未出版の小品を 継続的に熱心に録音し続けて来ましたので、両者にゆかりのこの曲には最適な指揮者だったと言えましょう。“スカラ座デビュー40周年” “デッカ録音40周年” “ロッシーニ没後150年” 様々な角書の付いたCDです。企画として面白い曲ではありますが、こうした変則的な…曰く付きの作品をよく取り上げたものだと感心します。あらゆる面で“機が熟した”と言う事なのでしょう。当然ですが…行き届いた 円熟の演奏なのだろうと考えます。

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