ワーグナー 歌劇 さまよえるオランダ人 抜粋 未開封 フィッシャー=ディースカウ フリック シェヒ ショック ヴンダーリッヒ 廃盤? コンヴィチュニー ベルリンクラシック エーデル

コンヴィチュニーのオランダ人 ハイライト盤です。全曲の中から10曲が抜粋されて その多くが10分前後です。主要なナンバーがおおよそ聴ける仕組みになっていて 周到な構成だと思います。一枚の合計が約80分で CD時代以降の再編集なのが分かります。
演奏は非常に個性的です。スタジオ録音にもかかわらず “やり直しなしの一発録音”ばりの生々しさが感じられ、即興的な面白さに溢れ スリリングな息遣いが伝わります。例えば ３幕の“前奏曲”から“水夫の合唱”までの見事さ…ひとくさり流した後に “さてっ” とばかりに一呼吸置いて “本息”で演奏が始まる時の “間” “イキ” の凄いこと…。 帆船が大ゼリに乗って ゆるゆると迫り上がって来るのが目に浮かぶようで、いかにも“劇場的”で“時代”で 聴く度に心が躍ります。
レコード評などを見ていても、“アラい” という意見がある一方で 熱烈な賛辞を送る方も居られて、際立った持ち味が伝わります。“荒い” と “粗い” は根本が異なるはずで、バイロイト録音をはじめとして 近年のDVD録画まで ライブ録音数多いなか、妙な話…ライブ感はこの演奏がダントツだと思います。
歌手達も超豪華です。中でも F =ディースカウの青白いオランダ人とヴンダーリッヒの水夫の美声は 殊に印象的です。歌手の層の厚みが 現代の数倍~数十倍だった事が分かります。ゼンタは好悪が分かれますが、ルチアなみの障害を抱えた役かもしれず、これでもグッドだと言えましょう。
“アラい” と言う指摘は コンヴィチュニーの指揮に向けてなされたものですが、本人も 周囲も プロデューサーも そこは百も承知のはずで … 。もっとほかに聴くべき所が有るだろうに…と感じます。録音からもう60年以上の時間が経過している事になりますが、その後のツルピカの録音群を抑えて未だに現役で、何とも心強い限りです。
ベルリンクラシック エーデル盤です。どうすればこんな音に録れるのか…と思うほどの鮮烈で分離の良い音がガンガンと響きます。もともとが東独シャルプラッテンと西側EMIの共同制作盤ですが、LP時代は “東独盤の方が圧倒的に音が良い” と言われていました。CD移行後の評判は分かりません。聴き比べも面白いかと思われます。全曲盤 抜粋盤ともに 現在は流通が止まっているかもしれないです。

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