ヴェルディ 歌劇 ナブッコ DVD マエストリ グルーバー ブルチュラーゼ 極美品 オーレン 2004 ピアチェンツァ 邦語字幕 マエストーリ

マエストリのナブッコです。“すこし粗っぽいオラトリオ” とも言われるこの曲の特質が良く分かる 興味深い舞台だと思います。お料理の分野で “素材の味がそのまま伝わる” と言う表現がありますが、まさにその通り “ナブッコの本性が良く伝わる” 舞台だと感じました。
ここ40年くらい前から ナブッコ” は人気の演目で、録音も録画も かなりの記録が残されているのではないかと感じます（数だけだと “アイーダ” と肩を並べるくらい）。それでも大概は、アビガイッレが強烈とか 指揮者が個性的とか 舞台がスペクタクルで大掛かりとか 他にも“目玉”となるポイントが備わっていて、つい そちらにばかり目が行ってしまいがちです。この舞台は 主役２人がもちろん注目ですが、主役のみならず 全てがほどほどの線に収まって 目立ち過ぎないのが功を奏し、結果的に “ナブッコ” なりの特色が前面に押し出されているのだと考えます。
“ナブッコ” は ヴェルディの初期作で…ちょっとギクシャクとして…まだ世慣れていないアンバランスさが魅力です。直ぐの先輩を通り越して 雰囲気はロッシーニのセリア風で、この頃のセリアのお手本の在処が窺えます。初期作には作曲家の人間性がモロに投影されることが多く、この曲の場合も 巧拙以前に ヴェルディの “頑なさ” や “一本気さ” が顕著だと…この録画から気づかされました。
マエストリのナブッコが注目です。あの体躯ですので 役柄が限定される点は致し方ないものの、ファルスタッフ以外では これとかアモナズロなどは守備範囲でしょう。歴代の名ナブッコと比較すると、性格描写も声もいまひとつ不足する感がありますが、出来ないのではなく そこまでやらないのが “現代風” なのだと感じます。ドラマティコとして大活躍だったグルーバーは、熱演ながら “言葉だち”の鋭さが不足気味。LPで聴いた “リザネックのマクベス夫人”みたいで（という事は 決して悪い出来ではないという事にもなる訳で）むしろドイツ辺りで大受けしそうに感じます。大ベテランのブルチュラーゼは、巨大だった声量が半減していてちょっと驚きます。ただ 半分になってちょうど普通のバスのレベルで、やっとティムールやオロベーソなどの役が似合いそうな感じです。イズマエレは なぜだか隣の雑貨屋のオジサン風。
オーレンは こうした曲のエキスパートです。野外大ステージではないので 若干控えめですが、それでも要所ではエキサイティング。演出はアイデア豊富。日本の芝居で言う “幕の振り落し” “しゃもじ” “宙づり” などが随所に見られます。すべてがピタリと嵌っている訳ではなく 効果もほどほどですが、将来への “種” としては貴重だと思います。悪役サイドのメイクが インディージョーンズの“異教徒”風で ちょっと面白いです。
普段 何気なく観ている作品ですが、気づかされる事の多い録画です。３作目とは言え 初期作で既にこの “頑固さ” “一刻さ”… だとすると 円熟期から晩年にかけての時期はどうだったのか… いやいや あの巨大な足跡は この信念があればこそに違いない… などなど いろいろな想像を掻き立ててくれる 面白い記録だと思いました。日本語字幕入り。

極美品です。本体 ケース ブックレットとも 開封時のままに綺麗だと思います。

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