ワーグナー 楽劇 ワルキューレ DVD デノケ ギャンビル ユン ローテリング ベーレ ウェストブロック 未開封 ツァグロゼック シュトゥットガルト歌劇場 2003

ワルキューレのDVD 全４曲を別々の演出家が担当して話題になった舞台です。2002年秋から翌年にかけての上演。全曲を通しで観たのは相当以前の事になるので 改めて再現したところ、やはり 時間を忘れて見入る面白さでした。何よりも１幕目が圧倒的に出来が良く、一見 “ペレアス” かと思える舞台面に 無理のない自然でフレッシュな劇が展開されて感動的でした。先ず デノケが突出して見事で、演技だけで音楽を表現し 全体を引っ張っているのが分かり驚かされます。若干クサイ振りが付けられた演出ではあるのですが、それを完全に消化して役に同化し 素晴らしい舞台です。演技の魅力が歌の数倍で、この方は根っからの女優なのだと感じます。ギャンビルは いわゆる“ヘルデンテノール”風ではないのですが 相当にハイレベルな出来で、“若し フィッシャー =ディースカウがジーグムントを歌ってくれていたら” という長年の妄想が ある程度満足いく形で充たされていて ちょっと見惚れました。歌や容姿以上に “男前” な気概がビンビンと伝わります。ユンさんと言う東洋人のフンディングも 本来ならば異質なはずながら、ジーグリンデが異民族の国に略奪された事を窺わせて 逆にとても効果的でした。そんな舞台も 2幕目になると齟齬が見え始め…3幕目にはそれが顕著になり “アプシード” はちょっと意味不明に…とすべてが万全ではないにしても、１幕目の良さだけでも見る価値は充分。もともと１幕は ストーリーとしても音楽としても独立した魅力を湛えた幕なので、これも“アリ”だと言えましょう。総じて 歌も演技も “神々族” よりも “人間族” が圧勝の印象でした。CDも出されている演奏ながら、これは絶対に“観る”べき上演だと再確認した次第で、まだご覧になっていない方には“是非とも” とお勧めをしたいと考えます。単独では現在は廃盤かもしれないです。すぐのちにジーグリンデを演ることになるウェストブロックがここではゲルヒルデで第一声を発し やはり目立っていました。

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