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ウェッジウッド
「ウェイクフィールド」クーペ・シェイプ
M・タプリントとの競作で生まれる
古戦場をイメージ。シンプルの極み
よく見ると巧緻な色使い。切り絵のようだ
ボウルと2種。昔からファンの多い佳作
★送料は全国無料。クロネコヤマト便でお送りします。
★常時50点以上を出品中。まだ少数ですがフィギュリンも出品中(アンティーク、コレクション > 工芸品 > 陶芸 > 西洋陶磁 > ロイヤル・ドルトン)
★込み入ったご質問やお問い合わせは次のアドレスへメールしてください。(freeway@deluxe.ocn.ne.jp)
ウェッジウッドが1955年から1964年にかけて製作・販売した「ウエイクフィールド」(Wakefield)のクーペ・シェイプのトリオ。今回はB&Bプレートを組み合わせました。ボウル・シェイプも出品中です。取り敢えず、2シェイプとも、取り敢えずこれがLast Oneです。
普通は、ボウル・シェイプのやや細い縦長コーヒー・カップが知られていて、B&Gから拝借したかのような形。シーガルなんかに使われる謂わばB&Gの標準カップの形です。ウェッジウッドもかなり図々しいところがある。
「ナポレオン・アイビー」でも使われたアース・ウェア用の「梨シェイプ」から発展したのがボーンチャイナの標準カップ「クーペ」。転がすと幌馬車の幌(クーペ)に見えます。クーペ・シェイプは
1950年代のウェッジウッド・デザインの中心人物でアート・ディレクターのヴィクター・スキレーンがお蔵入りしていたリーとクーペ2種の埃を払い再利用。リーは大きさを変えず球体株を僅かに膨らませ、クーペは口径、高さを僅かに変えて容量をアップしています。スキレーン自身、「チャーンウッド」でリーを、「サンタ・クララ」ではクーペを使っています。
ウェッジウッド博物館の資料によると、この「クーペ」は1939年にサヴォイ・ホテルの食器としてウェッジウッドが作ったとされます。以後1954年まで使われなかったとされる。
クーペには口径が大きく背が低い、見るからにティー・カップというタイプとこの縦長ずんぐりタイプがあります。同時期に両方が復活しています。「ナポレオン・アイビー」に使われた梨シェイプは全体は似ていますが、出っ張りがないおとなしい形をしています。
1954年復活というのは、当時のアート・ディレクターであったヴィクター・スキレーンが女流ミリセント・タプリン、ピーター・ウォールと共にデザイン大増産を始め、「リー」「ピオニー」と共に「クーペ」をボーンチャイナ用の標準カップとして使い始めたことを言うのでしょう。
ウェッジウッドの資料の内容が誤って伝えられたのではないだろうと、出品者はここで首を傾げます。
ここで多種出品してきた「クーペ」や「リー」は1940年代に既に使われています。経過は省略しますが、1934年に弱冠25歳でデザイン部門の責任者(アート・ディレクター)としてウェッジウッドに入社したことになっています。
実はその前、美術学校に通いながら独り立ちの手描きアーチストとして活躍しています。驚くべき制作実績を重ね、正式入社後も戦前は本人が筆を取ったと思われる「郭公」「チャイニーズ・フラワー」等すばらしい作品を残しています。
正式入社後も驚異的な馬力で手描き作を作った。彼は来る時代に備えて美術学校で「アール・デコ」を学んだと考えられます。しかし手描き時代に彼が得意としたのは伝統的なシノワズリの技法。アール・デコの手描きは数が少なかった。
1950年からの3人のアーチストによる「転写」時代のトップバッターとして、復活「リー」を使った「チャーンウッド」が彼のシノワズリ展開の象徴。同時期の「リッチフィールド」がアール・デコ風味の象徴と言えるでしょう。
既にベテランでアール・デコの絵付け作家として活躍していたミリセント・タプリンを指導しながら、彼女と競作する形でアール・デコ風デザインを多発しています。
話を引き戻さねば。思考経路を省略すると、「クーペ」はスキレーン自身の設計であったと考えられます。スキレーンが最も尊敬していたであろうアーチスト、トーマス・アレンが晩年に設計して愛用した「リー」には若い頃から注目していた。入社時から既に、クーペもリーもスキレーンは使っています。
大昔からアメリカ輸出用カップのデザインであった「ピオニー」には脚があったようだ。出品中のスキレーンの手描き「グループ」を見ていただければ、このスキレーンの手描き時代に、彼が昔の「ピオニー」をいかに改良しようと工夫していたのかが分かります。
お腹が出ているピオニーですよね。お腹を膨らませた「クーペ」の設計者ならではじゃないですか。1950年に「リー」「クーペ」の相方として登場した「ピオニー」はお腹を引っ込め、スッキリしています。
出品者はお腹の出た「ピオニー」の方がベターでないかと思う。多分、ボーンチャイナを厚くして大量生産するためにお腹を引っ込めることになったのであろうか。そう推測します。
「ウェイクフィールド」にはクーペの縦型と、「ボウル」シェイプの2種がツインで作られています。本来は縦型クーペもティー・カップなんですが、コーヒーカップが欲しいという声も多かったと思われますから、このツインは「どうぞ、コーヒーにも使ってください」というスキレーンのサービス心が発揮されたものではないかとも想像します。
1950年以後のスキレーンのテーマは「転写でカップを安くして、若い顧客を開発する」ということであったとされます。
ツインのカップを様々に組み合わせたのは、多くの顧客が気に入ったカップを選べるようにというスキレーンのサービス心のもう一つの発揮でもありました。
爆発的に多くのデザイン、パターンを作り、あらゆるカップを使ってみる。
1950年からの3人のアーチストのデザインの共演でウェッジウッドは世界一のブランドへの基礎を作ったとされます。デザインの多様さ、それをカップの多様さを絡めて、顧客の選択肢を広くした。これがウェッジウッド大躍進の要因だったでしょう。基本は、アート・ディレクターの尋常ならざる「サービス心」にあった。
「ウェイクフィールド」は、ピーター・ウォールのデザインです。今も人気の「ハサウェイローズ」「スプリング・モーニング」「ビーコンス・フィールド」「グリーンウッド」等のデザイナー。本来は可愛い花の絵のデザインを得意としましたが、リーダーであるスキレーンの導きで、デザイナーとしても飛躍していきます。
「ウェイクフィールド」は、ミリセント・タプリンの「落ち葉」に対応したデザインだと考えられます。
スキレーンはタプリンと、ピーターもタプリンと同じテーマで「競作」を重ねています。スキレーンが与えたテーマを作者それぞれが創案する。アール・デコのエッセンスをタプリンの刺激でスキレーン自身とピーターから引き出そうとした。
この取り組みから、ピーターのデザイナーとしての才能も開花することになった。そうでなければ、ピーター・ウォールからこういうデザインは生まれようはなかった。
ピーターをスカウトしたのはスキレーンであったと思われますが、デザイナーとして脱皮させたのもスキレーンの指導力だったと考えられます。
Wakefieldは英国で有名な古戦場。「薔薇戦争」で、王位を目前にしたヨーク公が、スコットランドの援助を受けたマーガレット王妃の反撃を受けてウェスト・ヨークシャー州のこの「ウエイクフィールドの戦い(Battle of Wakefield)」(1460年12月30日)で戦死したとか。英国人にはよく知られた地名。
枯れ落ちそうな木の葉に、「兵どもの夢のあと」という感慨をピーターは託したのでしょう。これはやはり、男が成せるデザインです。皆様はタプリンの「落ち葉」とどちらがお好きでしょうか。
このトリオのサイズは次の通り。
カップの高さ7cm、口径7.7cm。ソーサーの直径14.5cm。サイドプレートの直径は15cm。新品からストックされた未使用品再取り寄せ。
ほかにもたくさん出品しています。ぜひご覧ください。
+ + + この商品説明は オークションプレートメーカー2 で作成しました + + +
No.108.001.008